ぎっくり腰とは、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、突然腰に激しい痛みが走る状態のことを指します。重い物を持ち上げた時や、くしゃみをした時など、些細な動作がきっかけで発症することが多く、その痛みは立ったり座ったり、体をひねったりする動作を困難にするほど強い場合もあります。
「魔女の一撃」と呼ばれることもあり、その痛みはまさに電撃が走ったような衝撃的なものとして表現されることもあります。
ぎっくり腰は、腰椎周辺の筋肉や靭帯、関節などが損傷することで起こる炎症性の痛みであると考えられています。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などのように、特定の疾患が原因で起こる腰痛とは区別されます。ぎっくり腰は、レントゲン検査では異常が見られないことが多く、画像診断では原因が特定できないケースがほとんどです。
そのため、問診や触診によって診断されることが一般的です。
ぎっくり腰の痛みは、数日から数週間で自然に軽快していくことが多いですが、適切な処置を行わないと慢性化してしまう可能性もあります。
慢性的な腰痛に移行すると、痛みが長引くだけでなく、日常生活にも大きな支障をきたすことがあります。
ぎっくり腰とは?
1.1 ぎっくり腰の種類
ぎっくり腰は、痛みの原因によっていくつかの種類に分けられます。
種類 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
筋肉性腰痛 | 腰周りの筋肉の炎症や損傷 | 最も一般的なぎっくり腰。筋肉の痙攣や硬直を伴う。 |
靭帯性腰痛 | 腰椎を支える靭帯の損傷 | 特定の姿勢で強い痛みを感じる。 |
関節性腰痛 | 腰椎の関節の炎症や捻挫 | 腰を動かすと痛みが増強する。 |
椎間関節性腰痛 | 椎間関節の炎症や損傷 | 腰を反らせたり、ひねったりすると痛みが増す。 |
これらの種類は厳密に区別されるものではなく、複数の原因が複合的に絡み合っている場合も多いです。正確な診断は医療機関で行われます。
1.2 ぎっくり腰の好発年齢
ぎっくり腰は、30代から50代に多く発症する傾向があります。これは、加齢に伴い、筋肉や靭帯の柔軟性が低下し、損傷しやすくなるためと考えられています。
また、20代でも、デスクワークや運動不足によって筋肉が衰えている場合、ぎっくり腰になりやすいと言われています。
高齢者では、骨粗鬆症などが原因でぎっくり腰に似た症状が現れることもありますが、これは厳密にはぎっくり腰とは異なります。
ぎっくり腰の主な原因
ぎっくり腰は、様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされます。
主な原因を以下に詳しく解説します。
2.1 日常生活での動作
日常生活における何気ない動作が、ぎっくり腰の引き金となることがあります。重い物を持ち上げる、急に体をひねる、中腰の姿勢を長時間続ける、くしゃみや咳をするといった動作で、腰に急激な負担がかかり、筋肉や靭帯、椎間板などを損傷する可能性があります。特に、普段から運動不足だったり、体が硬い人は、ぎっくり腰になりやすい傾向があります。
2.2 スポーツ
スポーツ活動もぎっくり腰の原因となります。サッカーやバスケットボールなどのコンタクトスポーツ、ゴルフやテニスなどのスイング動作を伴うスポーツ、重量挙げなどの高負荷のトレーニングなど、腰に負担がかかりやすいスポーツは、ぎっくり腰のリスクを高めます。また、準備運動不足や急に激しい運動をすることも、ぎっくり腰の原因となります。ウォーミングアップやクールダウンをしっかり行い、自分の体力に合った運動をすることが大切です。
2.3 姿勢の悪さ
猫背や反り腰などの姿勢の悪さは、腰への負担を増大させ、ぎっくり腰を引き起こす可能性があります。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで、姿勢が悪くなりがちです。正しい姿勢を意識し、こまめに休憩をとるようにしましょう。また、椅子や机の高さを調整する、適切なクッションを使用するなど、作業環境を整えることも重要です。
2.4 その他(妊娠など)
妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて腰への負担が増加し、ぎっくり腰になりやすくなります。また、ホルモンバランスの変化により、靭帯が緩みやすくなることも、ぎっくり腰のリスクを高める要因となります。冷えやストレス、疲労、睡眠不足などもぎっくり腰の誘因となることがあります。加齢に伴い、骨や筋肉が衰えることも、ぎっくり腰のリスクを高めます。これらの要因に注意し、ぎっくり腰を予防することが大切です。下記の表に、ぎっくり腰になりやすい要因をまとめました。
分類 | 具体的な要因 |
---|---|
日常生活 | 重い物を持ち上げる、急に体をひねる、中腰の姿勢を長時間続ける、くしゃみや咳をする |
スポーツ | コンタクトスポーツ、スイング動作を伴うスポーツ、高負荷のトレーニング、準備運動不足、急に激しい運動をする |
姿勢 | 猫背、反り腰、長時間のデスクワーク、スマートフォンの長時間使用 |
その他 | 妊娠、冷え、ストレス、疲労、睡眠不足、加齢 |
ぎっくり腰ってなに? | まとめ
ぎっくり腰は、正式には急性腰痛症と呼ばれ日常生活の動作やスポーツ、姿勢の悪さなど様々な原因で起こる急性の腰痛です。
ぎっくり腰は高齢者だけのものではなく、若くてもちょっとしたことがきっかけでなる可能性があります。
激しい痛みで動けなくなることもありますし、慢性化してしまうこともあるので、放っておかず整骨院などでしっかり施術を受けましょう。