レセプト業務の書き方実践ガイド

負傷原因を正しく記載することは、レセプトの返戻を防ぎ、スムーズな請求業務を行う上で非常に重要です。

本記事では、正しい負傷原因の具体的な書き方の手順と、より正確な表現をするためのポイントを解説します。

正しい負傷原因の書き方実践ガイド

1. 5W1Hを意識した書き方

負傷原因を記載する際は、5W1Hを意識することで、簡潔ながらも必要な情報を網羅することができます。

いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、どのように(How)、なぜ(Why)という6つの要素を盛り込むことで、負傷に至った経緯が明確になり、審査側も状況を理解しやすくなります。

例えば、「自宅で階段を踏み外して転倒し、右足首を捻挫した」という負傷原因であれば、以下のように5W1Hに分解できます。

要素 内容
いつ(When) 負傷した日時
どこで(Where) 自宅の階段
誰が(Who) 患者氏名
何を(What) 階段を踏み外して転倒
どのように(How) 右足首を捻挫
なぜ(Why) 階段を踏み外したため

このように、5W1Hを意識することで、漏れのない正確な負傷原因の記載が可能になります。

2. 医療用語の活用

負傷原因を記載する際には、医療用語を適切に用いることで、より専門的で正確な表現ができます。

例えば、「捻る」ではなく「捻挫」、「打つ」ではなく「打撲」、「切る」ではなく「裂傷」など、医学的に正しい用語を使用することで、負傷の状態が明確になり、審査側にも適切に伝わるでしょう。

ただし、医療用語を使う際は、それが本当に適切な用語であるかを確認することが重要です。

3. 例文で学ぶ具体的な書き方

以下に、具体的な負傷原因の例文をいくつか示します。

これらの例文を参考に、5W1Hと医療用語を意識しながら、自身のケースに合わせた記載を作成してみてください。

負傷名 負傷原因の例文
右足首捻挫 自宅の階段で足を踏み外し、転倒した際に右足首を内反強制され負傷した。
左膝打撲 通勤途中に自転車で転倒し、左膝を地面に強打した。
腰部捻挫 自宅で重い荷物を持ち上げた際に、腰に激痛が走り負傷した。
右肩関節脱臼 スポーツ中に転倒し、右肩を地面に強打した際に右肩関節を脱臼した。
頸部捻挫 追突事故により、頸部が急激に過伸展され負傷した。

これらの例文はあくまでも一例です。重要なのは、5W1Hを意識し、医療用語を適切に用いることで、負傷に至った経緯を明確かつ正確に伝えることです。

患者から聞き取った情報を元に、具体的な状況をイメージしながら、分かりやすい文章で記載するように心がけましょう。

負傷原因記載が不要なケース

基本的に3部位以上の負傷の際には負傷原因の記載が必要ですが、例外も存在します。

負傷原因記載が必要となるのは、3部位目以降の多部位逓減による減額算定時です。 つまり、後療、冷罨法、温罨法、電療を算定する際に、3部位目以降が所定料金の60/100に減額される場合に負傷原因の記載が必要となります。

初回処置料(初検料・再検料・施療料・整復料・固定料)は逓減の対象外であるため、これらの場合、負傷部位数が3部位以上であっても負傷原因の記載は不要です。

また、負傷日が月の後半で、初検日が翌月になる場合など、月の途中で保険請求を区切るケースも負傷原因記載が不要となる場合があります。

例えば、負傷日が1月29日で初検日が1月31日、負傷部位が3部位の場合、1月分の請求には初検料・施療料のみが計上され、2月分の請求に後療などが計上されることになります。

この場合、1月分の請求では逓減対象となる施術が含まれていないため、負傷原因の記載は不要です。

1. 初回処置料のみの場合

初検時または再検時に施術を行わず、検査・診断のみで終了した場合、初回処置料(初検料・再検料)のみが算定されます。

このケースでは、逓減対象となる施術が行われていないため、負傷部位数に関わらず負傷原因の記載は不要です。

2. 逓減対象外の場合

負傷部位数が3部位以上であっても、逓減対象となる施術(後療、冷罨法、温罨法、電療)を行わない場合は、負傷原因の記載は不要です。

例えば、骨折や脱臼などの外傷に対して、整復・固定のみを行い、後療等を行わない場合は、負傷原因を記載する必要はありません。

また、負傷部位が複数あっても、それぞれが異なる負傷日である場合も、各負傷日ごとに請求を分割することで、逓減を回避し、負傷原因の記載を不要にすることができます。

下記の表に、負傷原因記載の要否をまとめました。

負傷部位数 施術内容 負傷原因記載
3部位以上 後療、冷罨法、温罨法、電療を含む 必要
3部位以上 初回処置料のみ 不要
3部位以上 整復・固定のみ 不要
3部位以上 異なる負傷日の施術をまとめて請求 必要 (ただし、負傷日ごとに請求を分割すれば不要)

負傷原因の記載要否については、厚生労働省の通知や全国健康保険協会などのウェブサイトで最新の情報を確認するようにしましょう。

また、不明な点があれば、所属する柔道整復師会や都道府県国民健康保険団体連合会に問い合わせることをおすすめします。

正しい負傷原因の書き方実践ガイド | まとめ

今回はレセプト業務においての負傷原因の正しい書き方について解説しました。

また負傷原因の記載が不要なケースについても説明しました。初回処置料のみの場合や、逓減対象外の場合は、負傷原因の記載は省略できます。

これらのケースを正しく理解することで、無駄な作業を省き、効率的なレセプト作成が可能になります。

正しい負傷原因の書き方をマスターし、スムーズな請求業務を行いましょう。

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