レセプト業務の負傷原因を正しく記載する重要性

柔道整復師にとって、レセプトにおける負傷原因の正確な記載は、適正な保険請求を行う上で非常に重要です。

記載の誤りや不備はレセプトの返戻に繋がり、再請求の手間や診療報酬の遅延を招くだけでなく、最悪の場合、不正請求とみなされる可能性も孕んでいます。

スムーズな業務運営と患者さんへの適切な施術提供のためにも、負傷原因の記載ルールを正しく理解し、実践することが不可欠です。

負傷原因を正しく記載する重要性

1. レセプト審査と返戻の関係

提出されたレセプトは、保険者によって厳正に審査されます。この審査過程において、負傷原因の記載に不備があると、レセプトは返戻となります。

返戻の理由は様々ですが、主なものとしては、負傷原因の記載が曖昧施術内容と負傷原因の整合性がない必要書類の不足などが挙げられます。

返戻されたレセプトは修正後、再提出が必要となり、その分、診療報酬の支払いが遅延することになります。

また度重なる返戻は、保険者からの監査対象となる可能性も高まります。厚生労働省のウェブサイトでは、レセプト審査や返戻に関する詳細な情報が提供されていますので、ご確認ください。

2. 適切な記載でスムーズな請求を

負傷原因を正しく記載することで、レセプトのスムーズな審査迅速な支払いに繋がります。

具体的には、負傷原因を5W1Hを意識して明確に記述する、医療用語を用いて正確に表現する、などが重要です。

これにより、審査側が負傷の状況を正しく理解し、適切な判断を下すことが可能となります。また、負傷原因の記載に時間をかけすぎないよう、簡潔で分かりやすい表現を心がけることも大切です。

よくある返戻例と改善策

レセプトの負傷原因の記載において、曖昧な表現や不適切な記述は返戻の原因となります。

スムーズな請求業務のためにも、よくある返戻例と具体的な改善策を理解しておきましょう。

1. 曖昧な表現:具体的に書く

負傷原因の記述が曖昧だと、審査機関は状況を正しく把握できず、返戻となる可能性が高くなります。「転んで負傷」といった漠然とした表現ではなく、5W1Hを意識して具体的に記述することが重要です。

例えば、「自宅階段で足を踏み外し、転倒して右膝を負傷」のように、場所、状況、負傷部位を明確に記しましょう。

不適切な例 適切な例
階段で転んで負傷 自宅階段を昇降中、2段目から足を踏み外し、転倒して右膝を負傷
スポーツ中に負傷 体育館でバスケットボールの練習中、ジャンプの着地時に左足首を捻挫
重いものを持って負傷 勤務中に20kgのダンボールを持ち上げた際、腰部に痛みを感じ負傷

2. 施術対象外:原因を明確化

柔道整復師の施術対象は、急性外傷性の負傷に限られます。

慢性的な痛みや疲労、疾病による症状は施術対象外となるため、負傷原因を明確に区別する必要があります。

例えば、「長時間のデスクワークによる肩こり」や「慢性的な腰痛」などは施術対象外です。これらの症状を負傷原因として記載すると、返戻される可能性が高いです。

急性の外傷が原因であることを明確に示すことが重要です。

不適切な例 適切な例(負傷が認められる場合)
長時間のデスクワークで肩が凝り、痛みが増した デスクワーク中に誤って椅子から転落し、肩を強打したことで痛みが増した
慢性的な腰痛が悪化 くしゃみをした際に急激な腰痛が出現し、慢性的な腰痛が悪化

3. 労災・通勤災害との混同:適切な表現を選ぶ

負傷原因が業務中や通勤途中の出来事であった場合、労災保険や通勤災害の適用となる可能性があります。これらの場合、健康保険ではなく労災保険等が適用されるため、レセプトの負傷原因欄には「労災」または「通勤災害」と記載する必要があります。

単に「仕事中に負傷」と記載すると、健康保険の請求と誤解され、返戻される可能性があります。

正確な状況を把握し、適切な表現を用いることが重要です。

不適切な例 適切な例
仕事中に転倒して負傷 通勤途中に転倒して負傷(通勤災害)
業務中に転倒して負傷(労災)
会社で重いものを持って負傷 業務中に重いものを持って負傷(労災)

日本柔道整復師会 のホームページなども参考に、より詳細な情報を収集し、正確なレセプト作成に努めましょう。

レセプト業務の負傷原因を正しく記載する重要性 | まとめ

柔道整復師がレセプトを作成する際に重要となる負傷原因の書き方について解説しました。

レセプトの負傷原因は、審査の際に重要な判断材料となります。曖昧な表現や施術対象外の内容で記載してしまうと、返戻となる可能性が高まります。

返戻を避けるためには、5W1Hを意識し、医療用語を用いて具体的に記載することが重要です。

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