近接部位の算定方法を具体例で解説

近接部位の算定は、柔道整復師にとって非常に重要な知識です。

合わせて読む → 近接部位ってなに?

誤った算定は、保険請求の返戻につながる可能性があります。

本記事では、具体的なケーススタディを通して、近接部位の算定方法を詳しく解説します。

近接部位の算定方法を具体例で解説

1. 代表的な近接部位の組み合わせと算定例

まずは、代表的な近接部位の組み合わせと、その場合の算定例を見ていきましょう。

以下の表にまとめました。

ケース 負傷部位 算定方法 解説
1 右肩関節捻挫、右上腕部打撲(下部) 右肩関節捻挫のみ算定 肩関節捻挫と上腕部(下部)の打撲は近接部位のため、捻挫のみを算定します。
2 左肘関節捻挫、左前腕部打撲(下部) 左肘関節捻挫のみ算定 肘関節捻挫と前腕部(下部)打撲は近接部位のため、捻挫のみを算定します。
3 右膝関節捻挫、右大腿部打撲(上部) 右膝関節捻挫のみ算定 膝関節捻挫と大腿部(上部)打撲は近接部位のため、捻挫のみを算定します。
4 頸部捻挫、左肩関節捻挫、背部打撲 頸部捻挫と左肩関節捻挫のみ算定(柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等についての「特殊な近接部位」の考え方による) 頸部捻挫と肩関節捻挫は別部位として算定できますが、背部打撲は近接部位となるため算定できません。
5 左第2指基節骨骨折、左第2指PIP関節捻挫 左第2指基節骨骨折のみ算定 指骨骨折と同時に生じた同部位の捻挫は近接部位のため、骨折のみを算定します。

1.2 特殊なケースにおける算定方法

近接部位の算定には、いくつかの特殊なケースが存在します。

以下に、その例を挙げます。

1.2.1 同一部位への複数の損傷

例えば、膝関節に捻挫と打撲が同時に発生した場合、捻挫と打撲を別々に算定することはできません。どちらか一方の損傷のみを算定します。通常は、より重症度の高い損傷を優先して算定します。このケースでは、捻挫を算定するのが一般的です。

1.2.2 施術継続中に発生した同一部位又は近接部位の負傷

既に施術を行っている部位、あるいはその近接部位に、新たな負傷が発生した場合、その負傷は初診時と同様に近接部位として扱われます。

例えば、右肩関節捻挫の施術中に、右上腕部(下部)に打撲が発生した場合、この打撲は近接部位として扱われ、新たに算定することはできません。

2. 部位の範囲と判断のポイント

近接部位の判断においては、「部位の範囲」を正しく理解することが重要です。

例えば、「上腕部」は、肩関節から肘関節までの範囲を指します。

この範囲を「上部」「中部」「下部」の3つに区分し、近接部位の判断を行います。

この区分は、あくまで目安であり、厳密な線引きはありません。

医師の診断や患者の症状を総合的に判断し、適切に算定する必要があります。

近接部位の算定は複雑で、判断に迷うケースも少なくありません。

不明な点があれば、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの関係機関に問い合わせることをお勧めします。

 

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