整骨院の保険診療の厳格化とは

柔道整復師や整骨院経営者の方々にとって、保険診療の厳格化は大きな関心事となっています。

近年、不正請求問題の増加や柔道整復療養費の減少傾向を受け、厚生労働省は保険診療に対する審査を厳格化しています。

この流れに適切に対応できなければ、経営に深刻な影響が出る可能性さえあります。

今回は保険診療厳格化の背景について解説します。

保険診療の厳格化背景

柔道整復師や整骨院・接骨院を取り巻く環境は、近年大きく変化しています。

保険診療の厳格化はその象徴的な出来事であり、この背景には深刻な不正請求問題と柔道整復療養費の減少傾向という二つの大きな要因が存在します。

1. 不正請求問題の深刻化

残念ながら、一部の柔道整復師や整骨院・接骨院において、不正請求が横行しているのが現状です。

架空の施術や水増し請求、そして本来保険適用外の施術を保険適用として請求するといった悪質な事例も報告されています。

このような不正請求は、国民の貴重な医療費を無駄にするだけでなく、柔道整復師全体の信頼性を損ね、適正に保険診療を行っている多くの柔道整復師にも悪影響を及ぼします。

不正請求は絶対にあってはならない行為であり、厳格化はこうした不正行為を撲滅するための重要な対策と言えるでしょう。

1.1 不正請求の類型

不正請求には様々な類型が存在し、巧妙化しているケースも少なくありません。

主な類型としては、以下のようなものがあります。

類型 内容
架空請求 実際には行っていない施術を請求する行為。
水増し請求 施術回数や施術内容を実際よりも多く偽装して請求する行為。
保険適用外請求 保険適用外の施術を保険適用と偽って請求する行為。
部位転がし 負傷部位を本来とは異なる部位に偽装して請求する行為。

これらの不正請求は、悪質な詐欺行為に該当する可能性もあり、刑事罰の対象となる場合もあります。

厚生労働省は不正請求撲滅のために様々な対策を講じており、今後さらに厳格な姿勢で臨むことが予想されます。

2. 柔道整復療養費の減少傾向

柔道整復療養費は、柔道整復師による施術に対して健康保険から支払われる費用です。

しかし、この療養費は近年減少傾向にあります。少子高齢化による被保険者数の減少や、医療費抑制政策などが背景にあると考えられますが、不正請求問題も少なからず影響を与えていると考えられます。

療養費の減少は、柔道整復師の経営を圧迫し、質の高い施術を提供する体制を維持することを難しくする可能性があります。

療養費の適正な運用と確保は、柔道整復師にとって重要な課題となっています。

2.1 療養費減少への対策

療養費の減少傾向に対応するためには、柔道整復師自身も積極的に対策を講じる必要があります。

例えば、以下のような取り組みが考えられます。

  • 自費診療の導入や拡充
  • 経営の効率化
  • 患者満足度の向上

これらの対策を通じて、経営基盤を強化し、持続可能な経営体制を構築していくことが重要です。

また、柔道整復師の専門性を高め、質の高い施術を提供することで、国民の健康増進に貢献し、柔道整復療養費の必要性を訴えていくことも重要です。

整骨院の保険診療の厳格化 | まとめ

今回は整骨院における保険診療の厳格化についてお話ししました。

当たり前のことですが、保険が使えるということは税金が投入されているということです。ですから基本的に保険診療に関する審査等は厳しいです。

当然のことながら、不正請求はあってはならないことですので、整骨院も保険の処理は丁寧に行わなければなりません。

また今後も保険診療に関する審査は厳しさを増す可能性もありますので、柔道整復師や整骨院は自費診療の導入やオリジナルなサービスを提供するなど経営基盤を強化する必要がありそうです。

柔道整復師がセミナーを受けるならRAKUSHOWセミナー

 

関連記事

  1. 整骨院・整体院・リラクゼーション・エステの特徴を比較

  2. 大学で柔道整復師を目指すメリット・デメリット

  3. 整骨院経営にとって重要なリピート率とは