先日、整骨院業界における保険診療の厳罰化の背景について解説しました。
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柔道整復師の保険診療における厳格化は、多岐にわたる内容を含んでいます。
本記事では、厳罰化の主な内容と具体例を以下に示します。
保険診療の厳格化の内容と具体例
1. 柔整審査会の権限強化
柔道整復師の審査会は、保険請求の審査や不正請求の調査を行う機関です。
厳格化により、審査会の権限が強化され、より詳細な審査や調査が可能となりました。
具体的には、施術内容の妥当性や請求金額の適正性をより厳しく審査するほか、必要に応じて施術者への聞き取り調査や現場での実地調査なども実施できるようになりました。
これにより、不正請求の抑止効果が高まると期待されています。
2. 部位転がしへの厳格な審査
部位転がしとは、負傷していない部位を負傷したと偽り、保険請求を行う不正行為です。厳格化により、部位転がしに対する審査が強化されました。
具体的には、患者の症状や施術内容の記録を詳細に確認し、負傷部位と施術部位に矛盾がないか厳しくチェックされます。
また、同じ患者に対して複数の部位を短期間で転々と施術している場合なども、部位転がしの疑いがあると判断される可能性があります。
疑わしい場合は、審査会による調査が行われることもあります。
3. 地方厚生局による指導・監査の強化
地方厚生局は、各地域における保険医療の監督機関です。厳格化により、地方厚生局による指導や監査が強化されました。
具体的には、整骨院や接骨院への立ち入り検査を実施し、施術記録や請求書の確認、施術者への聞き取り調査などを行うことができます。
また、不正請求が判明した場合には、保険医療機関の指定取消などの行政処分を下すこともあります。
これにより、保険診療の適正化が促進されると期待されています。
4. 金品提供による患者紹介の禁止
金品提供による患者紹介とは、紹介料などの金品を受け取って患者を紹介する行為です。
これは、患者にとって最適な医療機関の選択を阻害する可能性があるため、厳格化により禁止されました。
具体的には、紹介料などの金品を受け取って患者を紹介した場合、保険診療の対象外となります。
また、紹介を受けた医療機関も、保険診療の対象外となる可能性があります。これは、患者にとって適切な医療機関を選択する権利を守るための措置です。
5. 広告宣伝の規制強化
整骨院・接骨院の広告宣伝についても、誇大広告や虚偽広告を防ぐため、規制が強化されています。
具体的には、施術効果を保証するような表現や、他の医療機関と比較して優位性を示すような表現は禁止されています。
また、無料体験や割引キャンペーンなどを実施する場合にも、条件や制限などを明確に表示する必要があります。こ
れらの規制に違反した場合、行政指導や業務停止命令などの処分を受ける可能性があります。
6. 療養費支給基準の明確化
療養費の支給基準についても、より明確化が進んでいます。捻挫・打撲・挫傷などの急性外傷が保険適用となる一方、慢性的な肩こりや腰痛などは、原則として保険適用外となります。
また、負傷原因が明確でない場合や、施術内容が医学的に妥当でないと判断された場合も、保険適用外となることがあります。
これらの基準を理解し、適切な保険請求を行うことが重要です。
7. 施術記録の保存義務の厳格化
施術記録の保存は、適切な医療提供と保険請求のために必須です。厳格化により、施術記録の保存義務が強化されました。
具体的には、施術内容、日時、患者の状態などを詳細に記録し、一定期間保存することが義務付けられています。
また、審査会や地方厚生局からの要請があった場合には、速やかに施術記録を提出する必要があります。
施術記録の不備や未提出は、不正請求の疑いを持たれる可能性があるため、適切な記録と保存が重要です。
8. 柔道整復師の倫理規定の遵守
柔道整復師は、患者に対して適切な医療を提供する責任があります。
倫理規定には、患者に対する誠実な対応、個人情報の保護、他の医療関係者との連携など、柔道整復師としての倫理的な行動基準が定められています。
これらの倫理規定を遵守し、患者中心の医療を提供することが重要です。
保険診療の厳格化の内容と具体例 | まとめ
本記事では保険診療がなぜ厳格化になっているのか、その内容と具体例をお伝えしました。
これらの厳格化は、保険診療の適正化を図り、国民の健康を守るために必要な措置です。
柔道整復師は、これらの内容を理解し、適切な対応を行う必要があります。