慢性腰痛は、その原因が多岐にわたるため、特定が難しい場合があります。
原因を特定するためには、医療機関での診察が不可欠ですが、よくある原因を理解しておくことは、ご自身の状態を把握し、適切な治療やセルフケアを選択する上で役立ちます。
慢性腰痛の原因は、大きく分けて筋肉の問題、骨格・関節の問題、神経の問題の3つに分類できます。
慢性腰痛の原因とは
1. 筋肉の問題
腰痛の多くは、筋肉の問題が原因となっています。筋肉の炎症、緊張、損傷などが、腰の痛みを引き起こします。
以下に、筋肉の問題に関連する代表的な原因を挙げます。
1.1 筋力低下
腹筋や背筋などの体幹の筋力が低下すると、腰椎への負担が増加し、腰痛を引き起こしやすくなります。特に、デスクワークや長時間の座位姿勢は、筋力低下を招きやすいです。運動不足も筋力低下の大きな要因となります。
加齢による筋力低下も慢性腰痛のリスクを高めます。
1.2 筋スパズム
筋肉の痙攣である筋スパズムは、急激な動作や無理な姿勢、冷えなどによって引き起こされます。筋スパズムは、激しい痛みを伴い、腰の動きを制限することがあります。ぎっくり腰も筋スパズムの一種です。長期間続く場合は、慢性腰痛につながる可能性があります。
1.3 筋膜の癒着
筋膜とは、筋肉を包む膜のことです。筋膜は、長時間の同じ姿勢や過度な運動、ケガなどによって癒着を起こし、筋肉の柔軟性を低下させ、痛みを引き起こすことがあります。筋膜の癒着は、腰の動きを制限し、慢性的な腰痛につながる可能性があります。 デスクワークや猫背などの姿勢も筋膜の癒着を助長する要因となります。
2. 骨格・関節の問題
骨格や関節の異常も慢性腰痛の原因となります。加齢による変形や、過去のケガなどが影響しているケースもあります。
代表的な原因は以下の通りです。
2.1 骨盤の歪み
骨盤は、身体の中心に位置し、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を担っています。骨盤の歪みは、姿勢が悪くなる原因となり、腰への負担を増大させます。出産後の女性に多く見られる産後骨盤痛も、骨盤の歪みが原因となることがあります。
骨盤の歪みは、慢性腰痛だけでなく、他の身体の不調にもつながる可能性があります。
2.2 椎間板の変性
椎間板は、脊椎の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす組織です。加齢や過度な負担により、椎間板が変性し、弾力性を失うことで、腰痛が生じます。
椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することで、激しい痛みやしびれを引き起こす病気です。
2.3 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊柱管(背骨の中を通る神経の通り道)が狭くなることで、神経が圧迫され、腰痛や下肢のしびれ、痛みを引き起こす病気です。加齢による脊椎の変形や、椎間板ヘルニアなどが原因で発症することがあります。
間欠性跛行(一定距離歩くと痛みやしびれが出現し、休息すると軽減する)は、脊柱管狭窄症の代表的な症状です。
3. 神経の問題
神経の圧迫や炎症も慢性腰痛の原因となります。神経の問題は、しびれや痛みだけでなく、運動機能にも影響を与える可能性があります。
3.1 神経圧迫
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などによって、神経が圧迫されると、腰痛だけでなく、下肢のしびれや痛み、筋力低下などの症状が現れることがあります。
神経圧迫が長期間続くと、神経障害を引き起こす可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。
3.2 神経炎症
神経の炎症は、感染症や外傷、自己免疫疾患などによって引き起こされます。神経炎症は、痛みやしびれ、感覚異常などの症状を引き起こし、慢性腰痛の原因となることがあります。
坐骨神経痛は、坐骨神経に沿って痛みやしびれが生じる症状で、神経炎症が原因となることがあります。
慢性腰痛の原因 | まとめ
今回は慢性腰痛の原因について解説しました。
原因は大きく分けて3つあり、筋肉の問題、骨格・関節の問題、神経の問題と考えられています。
原因を特定することが適切な処置の1歩となります。





