日本が超高齢社会になって数年が経っています。
そのため、高齢者医療や介護福祉のニーズは年々高まっています。
そして、高齢者や障害者が日常生活を可能な限り自立した生活を送るために欠かせないものが福祉用具です。
福祉用具とは身体の不自由な方や高齢者の方など、日常生活において支援が必要な方が、自立した生活を送るために使用する補助具のことを指します。
具体的には、
車いすや歩行器、杖などの移動補助具
シャワーベンチや手すり、つり革などの浴室・トイレの補助具
聴覚補助具や視覚補助具、言語補助具などのコミュニケーション支援具
食器や調理器具、便座などの介護支援具
空気清浄機や加湿器などの生活支援具
などです。
これらの福祉用具を適切に提供したり、使用方法をアドバイスしたりする専門職があるのをご存知ですか?
それが福祉用具専門相談員です。
今回は福祉用具専門相談員の業務内容、勤務先、資格の取得方法、年収について紹介いたします。
福祉用具専門相談員とは
福祉用具専門相談員とは、高齢者や障害者などの生活支援を行うために、福祉用具の提供や使用方法に関するアドバイスを行う専門職です。
福祉用具専門相談員の主な業務内容は以下のようなものがあります。
①福祉用具の選定支援
利用者の身体的状況や生活環境に合わせた福祉用具を提案し、選定するためのアドバイスを行います。
②福祉用具の提供手続き
福祉用具の貸与や購入に必要な手続きを行い、利用者が必要な福祉用具を適切なタイミングで提供するためのサポートを行います。
③福祉用具の使用方法の説明
福祉用具の正しい使用方法やメンテナンス方法などについて、利用者や介護者に説明を行い、安全な利用に役立ちます。
④福祉用具に関する相談業務
利用者や介護者からの相談に対応し、福祉用具に関する悩みや問題を解決するためのアドバイスや支援を行います。
⑤福祉用具に関する情報提供
福祉用具に関する最新情報や制度、補助金などについて、利用者や介護者に提供することで、福祉用具の利用に関する不安や疑問を解消します。
福祉用具専門相談員の主な勤務先
福祉用具専門相談員の主な勤務先は以下のものになります。
①福祉機関
地方自治体や福祉団体などで、福祉用具専門相談員として、市民や利用者に対して福祉用具の提供やアドバイスを行います。
②医療機関
病院やクリニックなどの医療機関に勤務し、患者さんやその家族に対して福祉用具の提供やアドバイスを行います。
③メーカー
福祉用具を製造・販売するメーカーに勤務し、製品の開発や販売、利用者向けのサポート業務などを行います。
④専門店
福祉用具を販売する店舗に勤務し、顧客に対して製品の提供やアドバイス、サポート業務などを行います。
福祉用具専門相談員の資格取得方法 試験の難易度は?
福祉用具専門相談員として働くには厚生労働省が定めた「福祉用具専門相談員養成研修」を修了し、修了証書を取得する必要があります。
この研修は福祉用具の種類や選定方法、使用方法、メンテナンス方法、福祉用具に関する制度や補助金などについて学びます。
具体的なカリキュラムは以下の通りになります。
・福祉用具と福祉用具専門相談員の役割(2時間)
・介護保険制度等に関する基礎知識(4時間)
・高齢者と介護・医療に関する基礎知識(16時間)
・個別の福祉用具に関する知識・技術(16時間)
・福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識(7時間)
・福祉用具の利用の支援に関する総合演習 (5時間)
合計50時間の講習を1週間ほどで受講します。
研修を終了後に筆記テストがありますが、難易度は高くなく、研修をしっかり受けていれば合格できるレベルになっています。
また、福祉用具専門相談員の資格を取得した後も、勤務する自治体によっては、さらに研修や実務経験を必要になる場合があります。
そのため、福祉用具専門相談員は常に最新の情報や知識を学んでいく必要があります。
また、福祉用具専門相談員になるためには、福祉の分野に関する知識や経験が求められます。
そのため、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、看護師などが福祉用具専門相談員を取得することが多いです。
福祉用具専門相談員の年収は?公的な福祉施設や医療機関ではやや低め
福祉用具相談員の年収は一般的には300万円から500万円程度とされています。
日本人の平均年収が約440万円とされているので、平均よりも大きく下回ることもあれば、平均を上回るケースもあるようです。
なお、公的な福祉施設や医療機関で働く場合は、年収がやや低めになる傾向があるとされています。
福祉用具専門員 | まとめ
福祉用具専門相談員は、福祉用具の選定や提供に関するアドバイスや支援を行う専門家です。
具体的には、福祉用具の選定支援や提供手続き、使用方法の説明、相談業務、情報提供などの業務を行います。
年収は、経験年数や勤務先、地域によって異なりますが、一般的な相場としては、初任給が月額20万円から25万円程度、経験者であれば月額25万円から30万円程度といったところが多く、年収換算では300~500万円となっています。
平均よりも安い傾向にありますが、介護や福祉分野において需要が高く、今後も需要が増加することが予想されるため、年収が上昇する可能性もあります。
福祉用具を使って、高齢者や障害者の生活を支えてみたいという方はぜひ資格を取得してみてはいかがでしょうか。