先日介護福祉士やケアマネジャーの給与を10月から賃上げするという話がSONPOケアの鷲見社長が会見されていました。介護職の給与を全産業平均の水準に引き上げるのが目的のようです。
介護職員の給与は依然として格差があり、全産業の平均にはまだまだ届かないのが現状です。今回のSONPOケアの発表もそうですが、厚生労働省もこうした処遇改善が必要だという情報を6月に報道されていました。こうした処遇改善は今後もさらに進むことでしょう。今日はこうした情報について考えてみたいと思います。
処遇改善により介護職の離職率、再就職は改善するのか?
さて、介護職の賃上げで今後離職率や再就職率は本当に改善するのでしょうか?
昨年二月から岸田政権は補助金を予算化し、介護報酬に加えてベースアップ加算を新設し給与のベースアップは可能になっていました。しかし全産業の平均賃金に比べると介護従事者は4万円程度届かないという現状があります。
こうした賃上げは確かに働く介護士にとってはうれしい情報ではありますが、実際のところ離職率が減るかどうかという問題は別なのかなという印象を受けています。
介護職の離職率の多い理由として、結婚や出産などの影響に加え、職場の業務過多が問題であることも一つの理由になっています。
我々介護・医療に従事するスタッフは身体が資本です。そのため自分の身体を壊してしまっては元も子もないという状況になります。
介護現場はかなりの肉体労働を強いられます。にもかかわらず賃上げで給与は上がっても、仕事内容が変わらない、介護現場の人間関係や運営方法が変わらないのであれば、状況は変わらない、根本的な問題が解決されないという問題もあるのではないでしょうか?
これから高齢社会に突入します。そのためさらに利用者が増加し、仕事内容はどんどん増えることが予想されます。
しかも介護職は平均年齢が高い職種として知られており、身体に負担がかかるため仕事を辞めざるを得ないというスタッフが増えていく影響でさらに人手不足に拍車がかかり、一人にかかる仕事量が増加することで不満は向上することが予想されます。
その状況で賃上げをすることで介護現場の不満が軽減するとは到底思えないなと思うのが私の意見です。
介護職の賃上げは確かに重要だとは思います。そのほかの対策も今後の政策で重要になるということを覚えておきたいですね。